療育手帳と精神障害者保健福祉手帳
現在発達障害のある方が取得できる可能性のある障害者手帳は療育手帳または精神障害者保健福祉手帳の2種類です。多くの場合はどちらか1種類ですが2種類お持ちの方もいらっしゃいます。
障害者手帳を取得すると様々なメリットがある一方でご本人や周囲の捉え方によってはデメリットが生じる可能性があることも事実です。
ですので今回はそれぞれの手帳対象者とサービス、保有のメリット・デメリットをまとめたいと思います。
☆対象者
〇療育手帳
IQ値が70~75以下の方。知的機能の障害が発達期にあらわれ日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にある方。
※一部自治体では、境界知能域(知能指数91以下)でも、自閉症の診断を受けると療育手帳(B2)が交付される。
〇精神障害者保健福祉手帳
精神障害や発達障害があるために日常生活・社会生活への制約がある人
☆申請方法
〇療育手帳
1.本人(保護者)が、自治体の福祉事務所または障害福祉担当窓口へ申請する。
2.児童相談所(18歳以上の場合は知的障害者更生相談所)で心理判定員・医師による判定を受ける。
〇精神障害者保健福祉手帳
1.本人(保護者)が、福祉事務所または障害福祉担当窓口で申請書を受け取る
2.医師の診断を受け、診断書をもらう
3.申請書・診断書・写真を担当窓口に提出する
☆再判定
〇療育手帳・・・原則2年毎の更新だが、実情は自治体によって大きく異なる。以下は東京都の場合。
・18歳未満 3歳・6歳・12歳に再度判定
・18歳に達した場合 18歳で更新判定
〇精神障害者保健福祉手帳・・・原則として2年ごと
☆区分・等級
〇療育手帳・・・自治体によって異なる
例1)2区分
<A>IQが概ね35以下の人。又はIQが概ね50以下で、肢体不自由などの身体障害を重複する人。
<B>IQが概ね35~50の人。
例2)4区分
<A1>最重度の知的障害(IQ19以下)
<A2>重度の知的障害(IQ20~34)
<B1>中度の知的障害(IQ35~49)
<B2>軽度の知的障害 (IQ50~75)
〇精神障害者保健福祉手帳・・・1~3級までの等級がある
<1級> 自立しての生活が困難な方。他の人の手を借りながらでなければ日常生活が送れない方。
<2級> 常に人の手を借りなければならないほどではないが日常生活が困難な状態の方。
<3級> 障害は軽度だが日常生活や社会生活で何らかの制限を受けている方。
☆サービス
療育手帳と精神障害者保健福祉手帳は共に税金の優遇措置。医療費の助成。公共料金や電話料金などの割引。公共交通機関、公共施設や映画館などの無料化若しくは割引。生活保護の障害者加算があります。基本的に精神障害者保健福祉手帳より療育手帳の方が手厚いサービスが受け取れます。(サービスの内容は障害区分・自治体によって異なる部分があります)。
☆メリット
〇療育手帳・・・特別支援学校高等部に進む場合は療育手帳の取得が条件になっている場合がある。大人になった後、障害者雇用枠での就職もできる。(一般枠でも可)。上記、行政サービスや優遇を受けられる。
〇精神障害者保健福祉手帳・・・大人になった後障害者雇用枠での就職もできる。(一般枠でも可)上記、行政サービスや優遇を受けられる。
☆デメリット
療育手帳と精神障害者保健福祉手帳共に家族を含め周囲からの理解が得られない場合がある。「障害者」と認定されることへの抵抗感から、ご本人の心的ストレスが増える可能性がある。障害者雇用の場合、昇進や待遇面で一般のルートから外れる可能性がある。
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