書字障害と基本的な対応

書字障害ですが、主な現れ方として

・漢字を書く際に、鏡文字を書くことが多い。

・文字を書く際に、余分に線や点を書いてしまうことが多い。

・年相応の漢字を書くことができないことが多い。

・間違った助詞を使ってしまうことが多い。

・文字の大きさや形がバラバラ・マス目からはみ出る。

などの傾向が見られます。

これらの主な原因としましては、文字(記号)の認識が苦手、音と文字が繋がりにくい、目と手の協応が苦手なことが挙げられます。字を書くという作業は細かく分けると、文字の形や書き順を思い出す、書く位置を確認する、鉛筆を手で動かす、書いている途中の文字を見ながら次に書く位置を決める、文章全体のバランスを考える等の複雑な動作を数多く行います。これらの動作の中で苦手な動作があると上手く書けなくなります。また文字(記号)の認識が苦手であったり音と文字が繋がりにくいお子様の場合、書きだけでなく読みも苦手な場合があるため以前説明した読字障害と併せた対応が必要になる場合があります。今回は書字障害に絞った基本的な対応を示していきます。


■漢字を分解して、漢字のへんやつくりから理解する

文字(記号)の認識が苦手な人は位置関係をつかむことが難しいです。そのため、漢字そのものを覚えさせるのではなく、「へん」や「つくり」に分けそれぞれの意味を教えてあげることにより、漢字を覚えやすくなります。またパーツを足し算をして漢字を作るゲーム、パーツで替え歌を作ったりお話しを作ったりして楽しみながら文字を学ぶ方法もあります。この方法は漢字に対しての苦手意識が薄れさせることが出来ます。そして漢字のパーツを覚えてもらった後でへんやつくりの意味を理解してもらいます。

■視覚過敏を緩和する

文字(記号)の認識が苦手な原因が視覚過敏である場合、紙の白さを過敏に目が感じ取って文字を認識しにくくなります。文字の黒さと紙の白さのコントラストが強い場合、長くノートに向き合えない場合があります。そのためコントラストが激しくない色の紙のノートを利用したり、色つき眼鏡を使ってみる、勉強机の光量を調節する等の視覚過敏を抑える対応が考えられます。

■マス目やケイ線を用意する

目と手の協応が苦手なお子様の場合、大きなマス目のノートを用意してあげたり、文字のバランスをつかむためにリーダー線が入った漢字練習帳を使用することをお勧めします。この際に大事なことはお子様の成長に合わせることです。学校では学年が進むにつれてマス目が小さくなりますが、目と手の協応が苦手で所謂不器用なお子様は小さなマス目に書くことが難しく結果として全く読めない字やバランスが崩れた字を書いてしまうことがあります。まずはバランス良く読める字を書くことが重要ですので、苦手なお子様は拡大コピーなどを用いることでお子様の現状に沿った大きさのマスで練習を進めましょう。

■スマホやタブレットを使用する

2016年4月からは障害者差別解消法によって学校で合理的配慮が実施されています。書字障害のお子様は書くことが大変なために通常のお子様以上に学年が上がるにつれて授業についていくことが難しくなります。そのためタブレットなどのICTを利用してノートを取ったり、キーボードを利用したり、黒板をカメラで撮ることで授業中に文字を書くことの負担を減らすことが有効です。現在学校内でのスマートフォンやタブレット利用が許可されるところが増えてきていますが、学校のお子様への理解と協力を得ることが必須です。


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