学習障害(LD)の基本的な対応

学習障害(以下LDとします)に対しては、何よりもまずお子様の学習上での能力の偏りを理解することが大切になります。お子様の能力の偏りを理解することでLDはものすごく対処しやすくなります。大事なことは「読みが苦手」というあいまいな形でなく、「何が主な原因で読みの特定部分が苦手」という具体的な形にすることです。読字障害、書字表出障害、算数障害などのタイプの中にも一人一人により細かな得意・不得意の個性が存在します。同じ書字表出障害のお子様でも文字自体は思い出せるが思い通り書き出すことが苦手だったり、書く出すことは出来るが文字自体を思い出すことがとても苦手など困りごとは人によって様々です

またLDの子は知的発達に遅れがみられないため、周りには障害がはっきりと見えにくく「勉強ができない子」「不真面目だ」などと誤解されることが多いです。お子様自身、頑張りが学力に結びにくいために「頑張ってもどうせできない」「自分には能力がない」と自信がなくなり、勉強への意欲や自尊心が低下してしまうことがあります。学習面での失敗体験や自信のなさ、意欲の低下などから最終的に「二次障害」と呼ばれるLDとは異なる症状や状態を引き起こしてしまうこともあります。二次障害が発症するとさらに勉強が難しい状況になりますので、発症前に対応してあげることがとても重要になります

そしてLDへの対応ですが、現在のところ手術や薬物などで医学的な方法による根本的な治療法はありません。LDへの対応は多くの場合、教育面・生活面での環境調整や療育といった支援で困難さを軽減することになります。以下に基本的な対応を示します。

①専門機関による診断と学校における合理的配慮

LDが疑われる場合には各市区町村の保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所等の身近な相談できる専門機関に行き、LDの疑いがある場合には専門医を紹介されて医師による診断を受けることが出来ます。専門家の支援を受けることは、お子様にとって悪いことではありません。専門機関に相談して診断を受けるとより特別な配慮やサポートを受けることもできますまた診断を受けることで周りの人に理解を得られやすくなり、学校での合理的配慮など支援がスムーズに受けられる場合もあります

2016年4月からは障害者差別解消法によって合理的配慮が実施され、障害のあるお子様に対して学校などで配慮がなされるようになりました。LDはツールを使ったり環境調整を行うことで、その子の学習における困難さを軽減することができます。その子にあった対応が出来る様に、学校環境を整えていきましょう。

②ご家庭での対応

家庭での対応も重要となります。お子様への接し方は、お子様のやる気や達成感を養いうつ病や引きこもりなどのいわゆる二次障害を防ぐ上で大切な役割を担います。LDの発見が遅くなったり誤った障害の理解により「自分は何をやってもできない」とお子様が思い込んでしまうことが原因となり、勉強意欲の低下や不登校などの二次障害と総称される症状や状態を引き起こしてしまう可能性も少なくありません。やる気、達成感を育てることは学習障害のお子様にとって最良の対応法となります。適切なサポートを受けられないまま、生活する上で最も困難さを感じるているのは本人です。お子様の特性を理解して生活からなるべく困難なものをとり除いてあげましょう。

発達障害あんちょこ

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