通常学級が向いている子
発達障害があるからといって、
必ず特別支援学級や特別支援学校に入れられるということはありません。
中には通常学級の方がいいお子さん、通常学級でも十分やっていけるというお子さんもいます。
そしてもちろん、特別支援学級や特別支援学校を選択したことで、能力が開花したり、
情緒が安定して学力やコミュニケーションがしっかり伸びていく、というお子さんもいます。
では、どういったお子さんが通常学級に向いているのでしょうか?
<通常学級の方がいいタイプのお子さん>
お子さんのタイプによっては、
特別支援学級を勧められても通常学級の方が総合的によいと判断できることもあります。
例えば、知能指数(IQ)が70前後くらいと低く学年相応の学力が身についていないけれど、
授業や課題には一生懸命取り組み、
その場で習ったことをその場だけでならある程度理解でき、
社会性やコミュニケーションに全く問題がなく、
活発にグループ活動や団体行動に問題なく参加し、
友達も多いタイプのお子さんは、通常学級の方が総合的にはいいことが多いです。
なぜならこのタイプのお子さんはみんなの中での自分の立ち位置というものがよく見えているので、
特別支援学級に入ることで「(自分たちとは)違う子だ」と思われたり、
「自分はみんなと違うんだ…」と思ったりすることによる衝撃やデメリットは、
個別指導で得られるメリットよりも大きいことが多いからです。
知能指数(IQ)の課題がある以上、
学力や知的な側面で挫折経験や失敗経験を持つことはある意味避けられないので、
クラスの在籍によってまで「できない子なんだ…」と思う経験はさせなくてもいいのではないでしょうか。
その分、学力面に関してはどうしても、
個別指導塾に通ったり家庭で丁寧に勉強を見るなど学校外での対応が必要にはなりますが、
年齢相応の対人関係の中で良くも悪くもいろいろな経験を積み、
将来社会の中で生きていく力を養うという意味では、通常学級の方が向いていると思います。
もちろん、どこかで自分が「みんなと同じようにできない」ことに気づいて落ち込んだり、
自信や意欲を失って学習やグループ活動などに取り組まなくなったり、
「できない」ということから友達関係がうまく取れなくなってしまい、
通常学級がストレスになってしまったら、その時点では特別支援学級を検討する必要は出てきます。
お子さんの能力、適応、周りの状況などを総合的に見て判断してあげてください。
なお、こういったタイプのお子さんの場合でも、
就学指導上の判定として「通常学級が望ましい」とされることは少ないと思われます。
これは、
「そうは言ってももしかしたらどこかでつまずき、個別の支援が必要になるかもしれない。」
「年度途中で転籍はできないから、必要になったときに特別支援学級を利用できる道だけは残してあげたい」という思いから来るものだったり、
「この子は通常学級でもよさそうだけど、他の児童・生徒との兼ね合いもあり、
知能指数(IQ)の低さからは通常学級とは判定できない」という決断だったりもします。
本当にお子さんにあう学級、必要な学級はどこなのか、
教育委員会(就学指導委員会)や学校側の考えも参考にしながら、十分に検討して決めることをお勧めします。
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