苦手なことに挑戦させる
受動型で不安の強いタイプの自閉症スペクトラムであるお子さんは
「これは自分にも出来る!」という確信や、強い自信がない限り、
なかなか新しいことに挑戦しようとしない傾向にあり、
得意なことがある反面、苦手なことも数多く抱えています。
そのような特性だと、本来出来る能力を持っているのに
不安や自信のなさから避けたままになってしまうことがあります。
今回は、そういった場合の対処法をご紹介します。
自閉症スペクトラムに限らず、苦手なことへの挑戦を渋る
お子さんに対するヒントが詰まっていますので、ぜひ最後までご覧ください(^^)♪
苦手で出来ないことにも理由は様々です。
感覚過敏や学習障害など特性が大きく絡んでいる場合は、
まずはその原因に対してアプローチしていきましょう!
小さいお子さんや特性によっては自分の困難を言語化しにくい場合もあり、
原因を探ることはなかなか大変ですが、スモールステップで手順を細分化していくと、
どこで躓いているのかが見えやすくなりますよ(^O^)
躓きポイントがわかればそこから原因も探りやすいですし次の対応につなげられます。
特性へのアプローチを行ったら、次はいよいよお子さんに苦手なことへ挑戦してもらいます。
この時、スモールステップで着実に克服させていくことが大切です!
具体的にどの程度のスモールステップを用意すればよいのか、
今回は「鉄棒が苦手なお子さんへの対応」を例にご紹介します!
1.トークンを用意する
トークンとはご褒美のことです。例えば、スタンプカードを用意してみます。
ひとつの手順が出来たら数種類の中から好きなスタンプを押してもらえます。
手順の数だけマスが設けられています。
このトークンはお子さんのタイプや年齢に合わせたご褒美を用意するとよいと思います。
おやつや、スタンプがたまったら何か買ってあげるなどもモチベーションになります。
スタンプや物でなくても、ハイタッチや抱きしめてあげるのもよいでしょう。
苦手度によってトークンを設定するのがよいと思います。
2.最初は触るだけからスタート
最初のステップは鉄棒を手で触るだけです。
まずはお母さんがお手本で、鉄棒に触るだけでOKとスタンプを押しに行きます。
そのあとにお子さんに挑戦させます。
お手本で見通しも立つのでこれだけでいいなら、と躊躇なく鉄棒に触ることが出来るでしょう。
スモールステップの最初の段階は、本人の能力的に絶対出来ることから設定しましょう。
それが評価されるということが大事なポイントなのです!
これだけなら出来る→出来た→褒められた の経験が次に繋がります。
3.鉄棒を握ってみる
鉄棒の握り方、親指は他の四本指と反対の方向でぐっと握る、
とお手本を見せながら教えます。
小さいお子さんだと、親指を他の指と同じ方向に向けて
引っかけているだけということがしばしばあるようなので、
握り方まで丁寧に教えてあげましょう。
正しい握り方で鉄棒をぐっと握るだけで2つめのスタンプがもらえます。
4.鉄棒を握っておなかにあてる
次のステップは鉄棒を握っておなかにぴたっとくっつけるだけです。
ここまでくれば本人も自分でもできると安心して取り組んでいます。
5.その後のステップ
その後は、鉄棒を握り、おなかにぴったりくっつけ、頭を下げるステップ、
次は、頭を下げて足を浮かせる、
その次はいよいよくるんと前まわりです。この時は周りの大人が補助をしてあげましょう。
最後に補助なしで一人で前まわりができるようになることがゴールです。
こうして本当に細かく細かく刻んでいき、不安を取り除いてあげることが重要です。
◎他分野で応用
やる気がなくてなかなか宿題に取り掛かれない、
気が散って進まないということは、ADHDをもつお子さんにはよくあることです。
まずは準備が出来たらハイタッチ、1文字かけたらハイタッチ、次は2文字...と、
ひとつずつに出来た体験やご褒美を用意し、だんだんスイッチを入れていきます。
他の方法としては、キッチンタイマーを使い、まずは3分間セット。
その時間でどれだけ出来たかを記録してきます。やる気が極端にないときは1分から始めます。
徐々にスイッチが入り記録が伸びてくると益々エンジンがかかります。
注意散漫がある場合は短い時間、すぐ手の届くご褒美はとても効果的です。
ただ、同じやり方にすぐに飽きてしまう子にはパターンを多く持つことが必要となってきます。
また、慎重なお子さんの場合は、課題設定などがないかぎり
苦手なことに自分から挑戦しようとしませんので、出来るだけ興味を持たせる仕掛けをし、
スモールステップで成功体験を繰り返すことから進めるようにしていきましょう。
◎苦手に取り組む上で大切なこと
発達に凸凹があると苦手なことも数多く現れてきます。
成長の段階で見えてくる場合も多々あります。
苦手なことに取り組む上で大切なのは、そのお子さんが取り組むものに対して
十分な発達段階にあるかどうかを見極めることだと思います。
産まれたばかりの赤ちゃんを歩かそうとしても無理なのと同じで、
発達段階がそこに達していないことはいくらスモールステップにしても出来ません。
年齢が何歳だから、周りの子はこれくらい出来ているからという基準ではなく、
それぞれの状況に対応することが大切です。
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